昨年10月に熊野で納竿後、初めての竿出し。いつもならアオリ狙いですが、鮎で燃え尽き?たのと寒さが厳しいのとでなかなか足が向きませんでした。が、たまたま夏は川漁師さんに電話すると「土曜に守内名人と鯛釣りに行くよ」とコマセを撒かれます。この週は春を思わせる天気が続き、土曜も天気は良さそう。なにより守内名人の鯛釣りを一度じっくり教えてもらいたかったので夕方にはがっちり針掛かりし、釣りあげられていました。


 新装なった釣りエサ市場さんで待ち合わせ。アミエビの小ブロックを2つとカワハギ用に石ゴカイを1杯購入して守内名人のご漁場、尾鷲市賀田の糸川渡船さんへ向かいます。守内名人は月に1度は来るそうです。通う理由は1、なにより真鯛の魚影が濃い1、非常に荒れ難い湾である1、糸川さんが非常に親切、です。この日も7時到着。筏、カセへの渡船時間はわがままを聞いてくれます。(基本は日の出~日の入り)deibuも2年前夏は川漁師さんと1度アオリ狙いで来ました。その時に2.7kgの自身アオリ最大記録を更新した所でもあります。さてカセに乗ります。東西に繋げた真鯛の養殖筏の南側に付けてある2杯のカセに乗せてもらいます。南を向いて釣ることになります。10mほど間を開け同じような養殖筏が並んでいます。筏と筏の間を釣る感じです。ここは東が外海になります。一番外に夏は川漁師さん、真中にdeibu、内側に守内名人、釣り座が決まったのでさて実釣開始。


 ここで今回体験する釣り方の紹介です。真鯛の狙い方としては他にないのでは?と思われる釣り方なので「守内式」と勝手に呼んでいます。釣り方は単なる「サビキ釣り」です。されど「サビキ釣り」なんです。用意するのは6尺程度のチヌ筏竿とベイトリールの100か150。ラインは安物ナイロン3号程度で十分。(deibuはカワハギ用1.8mの竿にPE0.8を巻いた両軸リールを使用)仕掛けがこの釣りのキモです。がまかつの「泉州サビキ」を使います。これでないとダメなんです。三重県内の釣具店では常備していないようです。お取り寄せ、通販で購入してください。今回は「針6号-ハリス1.0号」「針8号-ハリス 1.5号」を2枚づつ名人に用意していただきました。そしてコマセかごは蓋付の12号です。コマセかごは仕掛けの下にセットします。エサは冷凍アミエビ小ブロックを2~3個用意し、1個づつクーラーボックスから取り出して使います。このアミエビを切るナイフとタモ。これで準備OK!
 釣り方ですが、イメージは「アミエビに寄ってきた真鯛にサビキ針を食わせる」だけです。付けエサは使いません。ふかせ釣りなどと同じで如何にアミと針を同化させるか?のイメージが一番大事。蓋付のコマセかごとアミエビを冷凍のまま使うのは底までしっかりアミエビを届かせ、狙った位置でコマセを振るためです。完全に溶けたアミエビや蓋がないかごだと途中で出てしまい、魚が散ってしまう。今回のポイントで水深が約30m、他の場所でもその程度の水深を狙う場合が多く、このシステムがばっちりなのだそうです。


 ナイフで凍ったままのアミエビをコマセかごに入るサイズにカットして挿入。底まで落とします。底取りをしたら1.5mほど巻きあげそこから腕いっぱいしゃくります。ゆっくり下ろします。竿一杯まで沈んだらもう一度同じ動作を行います。これはコマセを撒く作業です。2回目竿一杯まで降りたらフリーにして再度底取りをします。ここからが真鯛との勝負。今度は底から腕いっぱいまでしゃくりゆっくり下ろす。これを3回程度繰り返すとコマセが無くなるイメージです。下ろして行くとき、底に着いた後アタリが出ます。アタリが出たら軽く合わせを入れます。強く入れると1号ハリスでは簡単に切れてしまいます。また魚が大きいと針が伸びてしまいます。上げ下げする腕が結構大変ですが集中してこれを繰り返すのがこの「守内式」です。この釣り方の欠点は大型(60cm以上)はまず捕れない(切れます。)ことです。舟にも向きません。筏、カセ専用です。これがなぜか釣れます。真鯛がこんなに簡単に釣れていいの!って感じです。守内名人はここで1日最高15枚を上げています。


 以上のレクチャーを聞いて実釣開始!ここ賀田湾の特徴では朝のうちは小さい(20cm台)から釣れ始めて昼ごろに大きいのが来る、3時以降は掛からないのでアジ狙いにする、大きいのが掛かると場荒れして暫く掛からない、曇天や海面がややざわついている時の方が食いが良い、などがあるそうです。朝一は小さい針からスタートです。
 1投目で早くもアタリが!小さいアタリで合わせられず。ですが早くも当たったのでやる気が出ます。タンッと短い小さいアタリがポツポツ出ますが合わせられません。5回目のアタリでやっと乗りました!真下にググッと突っ込む引きは鯛です。ブルーグリーンの底から見えてきたのは桜色の銀鱗!綺麗なチダイでした。20cm強のサイズ。早々に1匹釣れて気持ちに余裕も。竿を置くのはコマセを詰めるときだけなので忙しい!ビールもおちおち飲んでいられません。集中を切らさないようにがんばります。
 2匹目はやや強い当たりで難なくゲット!同サイズ。次は強く合わせてしまいハリス切れ。8号に変更。次に掛かったのが明らかに前の2匹より強い引き。数回突っ込まれたらバレました。針が伸びていました。ドラグをもう少し緩めておきます。次はうまく合わせられてサイズアップの30cm台。ですがこれもチダイ。
 天気も良いので眠気と闘いながら集中していた11時すぎ。タンタンッと出たアタリに合わせると力強い引きでドラグが滑ります。これは大きそう。無理をせず、かつ十分楽しみながら数分かけて浮かんできたのは綺麗な真鯛!でかいです。タモからはみ出すサイズをなんとかゲット!これが人生初真鯛!しばし見とれてしまいました。守内名人、ありがとう。


 少し経つと糸川のおやじさんが様子見に来てくれました。名人となにやら相談しカセを少し動かすことに。養殖筏の北側に移動です。距離は10mほどの移動ですが大きな違いがあります。太陽を背にするんです。今日は朝からアタリがでるがどうも食いがシブイ。天気が良く海面もベタなので警戒心が高い。養殖筏の北側にカセを掛けると薄暗い筏の陰になった部分で釣りができるので真鯛からは仕掛けも見難く釣り易いとの読みだそうです。
 移動すると名人が連続して掛けます。しかし3度のハリス切れ。デカイのがいるようです。食いが渋いので針を6号でやっています。小さいほどアタリ出やすい。しかし捕れない。太くすると食わない。この駆け引きがこの釣りの醍醐味とも言えます。しかしそこは名人。4回目はしっかりゲット!この日最大の47cmでした。移動後夏は川漁師さんもゲットして全員釣果を得ました。すごいぞ「守内式」!全てが名人の言ったとおりになり3時以降はアタリがとまり、この日はアジも回ってきませんでした。しかし初挑戦から5匹も釣果を得て大満足。


 糸川渡船さんは筏とカセは3,500円とお値打ち!もちろんアオリも狙えますよ。昼まで真鯛狙い、午後アオリ狙いなんてのも良いかも。他が荒れて出来ないときも可能性がありますのでそんな時は一度狙ってみてください。「守内式」は釣れます!(このポイントは50cmオーバーも間違いなく数多く居るようです。それを狙うのも面白そう。また、カセの移動は養殖筏の餌やり等で希望に添えない場合も多いのでご了承ください。)
 
この釣りのキモ。がまかつの「泉州サビキ(皮付)」です。針6号-ハリス1.0号と針8号-ハリス1.5号を今回は使用。ほとんどこの2種で対応するそうです。ちなみにF遊、上州屋、M谷釣具には常備していません。お取り寄せ又は通販で購入です。コマセかごは蓋付12号です。「蓋付」が重要です。 エサはこれだけ!冷凍アミエビの小(0.8~1.0kg位?)3個用意すれば1日十分です。1個250円程度。付けエサ不要!凍ったままがベストなので朝購入します。小ブロックを1個づつクーラーボックスから取り出して使用します。大ブロックだと後半溶けてしまって使いにくくなるからです。
カセは真鯛の養殖筏小割に止めてあります。筏の下が真鯛の溜まり場? この釣り方の考案者「守内名人」。腕一杯しゃくってゆーっくり下ろす。単純な動作ですがこれが大変。腕パンパンになりました。
3匹目はサイズアップしてそれらしい引きを味わうことができました。しかしこれは真鯛ではなくチダイです。エラ蓋の後縁が真っ赤です。また真鯛は尾ヒレ後縁が黒いですがチダイは黒くありません。守内名人曰く匂いも違う。味は真鯛には敵いませ んが、真鯛の産卵期後の初夏には逆転するそうなので僅かな差のようです。捌いた状態では区別は難しい。しかし綺麗ですね。 deibuにコマセを効かせるのが上手い夏は川漁師さん。食べているか寝ているかのように見えましたが手堅くお土産キープです。
着底して少し待った時に出た小さい当たりをうまく合わせることができたら今までにない強い引き。頭を下げて底へ底へと突っ込むストロークが長い真鯛の特徴らしいです。調整しておいたドラグがバッチリ効いて楽しみながら慎重に上げました。針は唇の外側にかろうじて掛かって伸び掛けていました。美形真鯛!やったー!って感じです。これで45cmほどです。 5匹目も良いサイズ!(チダイ)これはゆっくり下ろしている時に止まったので合わせたら掛かった1枚。
2月と思えない好天。賀田湾でも西奥になるこのエリアは特に穏やかな場所です。四方に山があって風にも強い。 良形が多かったのか三度もハリスを切られリズムに乗れなかった守内名人、さすがの集中力で帳尻を合わせてきます。
守内名人が釣った47cmの真鯛に掛かった8号のサビキ針。こんなに小さいんです。少し無理をすれば簡単に伸びます。でも大きくすると食わないらしい。 漁港へ戻って記録撮影。上2枚がチダイ、大きい2枚は真鯛。さすがに魚の王様ですな。美しい!

 尾鷲市賀田湾 糸川渡船 2011年2月26日

ポイント(Googlemapにリンク) 釣 果 竿 天井糸 上付け糸 水中糸 下付け糸
賀田湾カセ 05匹 シマノ カワハギSP1.8m PE0.8 フロロ2.0号   
鼻管ハリス 手 尻 針ハリス 逆さ針 鼻 管 その他
    がまかつ泉州サビキ
6号、8号
ナイロン1.0、1.5     餌:冷凍アミエビ