このたび、シマノさんから嬉しい招待をいただきました。それは九頭竜川で行われるジャパンカップ鮎ファイナルの取材です。お断りする理由は「出場するので」くらいしか無いので喜んでお受けいたしました。取材、記事への細かい制約もありません。頂上決戦を自分なりの視点でとらえた記事を皆さんにお伝えしたいと思っていますのでどうぞご期待ください。また、試合の様子だけではなく、参加選手たちがどんな思いでこの大会に挑むのか、なども伝えられたら良いな、と思っています。
 さて、取材するに当たっては当然自分でも竿を出してみない訳にはいきません。うまい具合にこの春から進学した息子が福井に来ています。九頭竜川から15分ほどのところにアパートを借りたので、そこをベースにできます。引っ越しなどで福井の街もいろいろ回ったので地図もばっちり。このお盆休みも少し用事があったのでそれと絡めての九頭竜川初釣行となりました。

 九頭竜川はずっと水が高い状態で推移していましたが、ここにきてやっと落ち着き、鮎の活性も一気に上がってきた絶好のタイミング。橋から覗くと浅い分流にも鮎が沢山見えて期待大!初めて見る九頭竜の流れは豪快で、熊野とも長良ともまた違った流れです。同じ北陸の神通川と非常に似ています。石はこぶし大から一抱えほどの石まで。丸い花崗岩です。流れの速い急瀬はやや石が動く感じがしましたが、チャラや平瀬、深瀬は石がしっかり固定されています。なので根掛かりも非常に少ない。ごみも少なく、この釣行ではごみや沈んだ枝木に根掛かることは一度もありませんでした。石のサイズが場所により揃っているので、流速は早く、押しも強いです。おもりを付けて釣っている方がとても多いなと印象を受けました。水量が多く深みも沢山あるので水温も安定していて、高水温によるおとり管理の心配は必要ないようです。水深は様々ですが、膝から腹くらいまでの水深で釣り人が多いようでした。幅の広い流れでは、慣れた方たちが水面から顔だけ出して渡河していました。幅の広いザラ瀬では比較的安全に渡河できる様子でした。
 通常大会の下見釣行の際は、参加の方たちの迷惑になるといけませんので釣行記を大会後までUPしませんが、今回はファイナルだけに参加される選手の皆さんは私よりも当然上級者ばかりですので私の記事が与える影響は無いと思えること、それに大河川の九頭竜川では初期の放流河川のようにどこかに鮎が溜まっているということもありません。また取材ということでこの大会をリアルに伝えたいので、どういった状況下でファイナルが行われるのかも伝えたい。事前の川の状態が少しでも知り得れば、見る側にとっても非常に興味深くなると思い、釣行記事をUPします。(ファイナル開催日1週間以内の釣行記事はUPしません。)

 初日の14日は用事が終わったのが14時過ぎ。まずは大会本部となる五松橋へ。橋たもと左岸のおとり屋さんで年券とおとりを調達し、そこから歩いて五松橋下流左岸へ。豪快な流芯の際もピカピカです。おとりの入れにくそうな流芯際から開始しますが当たりが出ない。おかしい。水際から下がって際を探っていきます。やっと1匹掛かる。それに変えて一段流芯に近いところへ。でも反応薄い。1匹追加だけ。少し下がっていくと下から上がってきた地元名手らしき方が「見てますよ」と声をかけてくれました。昨日はこの辺りで90匹近く!今日も午前中は調子よく37匹!午後は渋くなって7匹、九頭竜は立ち込んでなんぼ、と思われがちですが、ヘチをうまく釣るかどうかで釣果が変わってくると教えてもらいました。う〜ん納得。さっきやっていた流芯際もきっちりやられた後のようでした。
 さて、瀬開きからの平瀬は下流の広大なトロへと続いています。遠目には平坦な流れですが、川に立つと変化に富んでおり、特に川底は浅くなったり深くなったり、溝があったりで竿で探っていくのは面白い。速いピッチで探り、ある程度やったら反応が良かったところを重点的に攻めなおしました。そこは急瀬から開いた瀬がいったん浅くなる馬の瀬があって、そこからまた深くなり腹ほどの水深で流れる場所でした。大トロへ掛かるところでまた浅くなり流速が速くなるまでが良かったです。少しゆっくりめに攻めると良型が追ってきました。ここで10匹掛けて1日目は終了にしました。

 息子のアパートでゆっくり寝て、6時に起床!飯食って15分で九頭竜川です。まだファイナルのエリアがはっきりしませんので、今日も間違いなくエリアに入るであろう五松橋と鳴鹿堰堤の中間に右岸から入りました。五松橋から鳴鹿堰堤までは河原の横の道を車で行けます。鳴鹿堰堤の両端から噴き出した水が点在する中州を挟んで多様なポイントを作り出しています。鳴鹿堰堤から出た水は右岸側の流れがメインになるようで、アプローチも楽なことから釣り人が沢山でした。何本かに分かれた流れがいったん一つになったところが股下の広い平瀬でここを渡河したり、ここでも沢山の釣り人があちこち向いて釣っていました。入ったのはその下です。
比較的傾斜が緩く、釣りやすいポイントでした。右岸から2番目の流れ瀬肩に立ちます。右岸側はやや浅い流れでこちらの方が水量がある感じ。まだ左岸側にも流れがありますがここからは様子が見えません。石色がイマイチな感じでしたがとりあえずおとりを送り出します。5秒で掛かる!昨日よりずいぶん小さい。ですが連発します。ピークの時で時速15匹くらい。同じ場所では掛からず、少しづつポイントをずらして探る。追われ感があって掛かるのでめちゃ面白いです。瀬が開いたところはやや浅くなりますが、ここのほうがサイズが良い。右岸側の浅いチャラでも良く掛かっていた。午前中に42匹も掛かった。
 昼休憩後は車を置いた場所正面の深瀬から。左岸側がやや深くなっていて岸際に釣り人が並んでいます。右岸はお一人だけ。少し入っていくと石はびっしりで鮎も多く見えます。背が立つところギリまで入っておとりを下流からジワ−ッと引き上げていきます。野鮎が居るとフワッフワッとテンションが抜ける感じで追われ感が伝わります。逃げないようにテンションを掛けます。するとギューン!トロらしい強烈な当たりでおとりもろとも上流へひったくっていきます。昨日よりも一段大きいのばかりが掛かりました。時間はやや掛かるものの水に浸かって涼しいし面白い。ここも徐々に下っていくと流速が速くなる場所では当たらなくなりました。その下は左岸下流へ斜めに切れる瀬になっています、ここはたくさんの釣り人。そこから右岸よりの流れに変わっていきます。右岸にはテトラが並んでいます。その瀬は少しやってみましたが小さい。右岸側の浅いところも鮎はうじゃうじゃ見える。でも深トロの釣りが面白かったので戻ってそこで楽しむ。大会には向かないでしょうが面白いですよ。ここは。あと15pも下がれば渡河も楽そうなところでした。午後はほぼ良型ばかり20匹。合計62匹と十分楽しめました。

 2日間やってみた感想ですが、魚影の濃さは文句なしです。何処でも釣れる。数を釣るとなるとやはりザラ瀬、チャラ瀬か。深場や急瀬も掛かるが時間がかかる。特に沢山の中州で流れが分かれる場所は、こんなところで!というような高速ポイントがあります。機動力と手返しの速さ、ミスの少なさが勝負の分かれ目になるか。いずれにしても鳴鹿堰堤下流域では数釣り勝負になるのは間違いなさそうです。

 さて今回、長良川郡上でなやんだ当たりバレについて対策を打ってみました。一番基本的な「針交換」です。掛かったら替える。石をかいたら替える。20分程度目安で替える。種類によるムラをなくすためイニシアブロンズ6.75号の4本、ハリスはフロロ1.0号だけを使用しました。1日目8本、2日目は36本も使いました。結果ですが、はっきり自覚した当たりバレ6回だけ!ハリス切れ1回、少ない!郡上の時は36匹釣るのに10数回ありましたので圧倒的に少ない。鮎のサイズは違いますが、諸条件を差し引いて考えても針交換の効果は絶大だと実感。以降、惜しまず交換します。
 また、竿ですが、前回郡上からRSのソリッド穂先を0.55oから初めて0.7oに変えました。こっちの方がおとり操作がしやすく全然良いです!細いほうが良いかと思っていましたが、基本は0.7oで良いようです。ごく初期などだけ細いほうを考えればいいかなと感じました。今回の九頭竜川でもおもりは一度も使いませんでした。ソリッド+背針でしっかり底に入ります。その方が底の変化を探りやすいし、野鮎の気配も圧倒的に良くわかります。それと、RSではタメ難いと感じていたので、前回郡上から思いっきり曲げて溜めるよう意識して使っています。溜めて待っていれば竿のパワーで鮎は浮いてきます。そのまま竿に抜かせれば比較的楽に取り込めるようになりました。やっぱりこの竿のパワーを使い切れていなかったようです。身切れによるバレも非常に少なくなりました。
ファイナル当日まであと2回くらいやってみたいと思っています。鳴鹿堰堤上流部でも一度やってみたいです。九頭竜川、面白い!
 
五松橋歩道橋から分流を見る。鮎は何処にでもいます。この写真の中だけでもきっちりと縄張りを持った鮎が8匹 サイズも18〜20と良型でした。 五松橋下流を望む。わくわくする流れです。さてジャパンカップではどんなドラマが展開されるでしょう。
五松橋上流 荒瀬、急瀬、平瀬、浅トロ、深トロ、チャラ瀬、ザラ瀬、本流、分流とすべてが揃っています。 14日15:00 五松橋下流の左岸側急瀬。ヘチを狙うも不発。きっちり攻められています。流芯は攻めきれません。
14日 瀬から開くところ。この水では流芯は無理。 14日 瀬の下流は大きく開けたトロ瀬 複雑な流れで、水深の変化が多い。石のサイズもさまざまで面白い場所。
14日 右上のトロ瀬。この辺りで良く掛かった。 14日 ここではこんなのが揃った。18〜20のおとり頃。よく食っている。
14日 こんなトロ瀬は野鮎の反応が分かりやすくて超面白い。追われて逃げまくって掛かる。快感! 15日は朝から。鳴鹿堰堤の下流右岸から入ってみた。中州がいくつもあり変化が多い場所でした。比較的流れがある真ん中の瀬を選んで開始。
朝は石色は良く見えませんでしたがとりあえず探ってみる。開始5秒で掛かる! この流れは良く掛かった。しかし昨日の鮎と比べると明らかに小さい。13〜18pがメイン。が、数は出る!
このような瀬でも溜まっている場所があり、小さい範囲でバタバタっと掛かった。 流芯よりもこのようにやや開いたところで良いのが掛かった。
瀬がトロへと落ちるところ。ヨシで見えませんが、吸い込まれたらアウト!のような流れです。やはり良型が掛かりました。 右岸向きの流れ。チャラ瀬ですが良く掛かっていました。
広大なトロ瀬。この辺りは水深は首までくらいです。渡っていく方もいました。石はビッシリで、良型が連発しました。駆け上がりが良かった。流速が早くなるところはイマイチでした。 同左上流側。白泡が左上の写真のアブナイところです。背が立つギリギリから開始。左岸までほぼフラットな水深のようです。
ドカーン!良く肥えた立派な鮎ばかり。面白い! 足元にも必ず鮎が見えました。撮ってみましたが写っていませんね?
今が最高の状態でしょうか。このトロ瀬は18〜21p級ばかりでした。 右岸側の2番流れにも鮎はいっぱい!どこでやろうか迷ってしまいますね。
15日午前中の釣果。良く釣れた! トロ瀬では目印をほぼ目いっぱいまで上げてジワ〜っとゆっくり引きます。野鮎が居れば確実に動きが変わるので面白いです。緩めすぎると逃げて掛かりません。
     
 日本海産鮎!スバラシイ!    下流の瀬はたくさんの釣り人でにぎわっていました。ザラ瀬は川通しの場所のようでした。瀬は細かいのも混ざります。

 九頭竜川(中部) 8月14〜15日 

ポイント(Googlemapにリンク) 釣 果 竿 天井糸 上付け糸 水中糸 下付け糸
五松橋下流
鳴鹿堰堤下流
12匹
62匹
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