2010年 鮎釣りの総括

2010釣行記INDEX

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 例年なら鮎が終わればアオリ狙いで海ですが、鮎が終わるとなぜか引いてしまう風邪で体調を崩し、夏の間に溜まった仕事で忙しく、さらに指を怪我して(鮎の祟りと言われたり・・・)しまったりで一度も行けませんでした。
 さて、鮎の方は来年になると今年の反省はすっかり忘れているので備忘録として今シーズンの振り返りをしておきます。
今シーズンのテーマは「動かせ釣り」を進化させ釣果を安定させる、ことでした。結果はどうだったのか。


シーズン序盤
 2010年は根尾川が絶不調、高速割引土日1,000円も手伝ってあちこち行きました。その中で初めての河川は矢作川付知川。両河川とも早期解禁で人気のある所です。どちらも放流がうまく行っていてサラ場では激しい追いを体感できました。これには難しいことは一切なく、居れば掛かる感じです。しかしそれが少なくなった時は難しい。追い気の弱い鮎を如何に掛けるか。丁寧な竿操作でおとりが泳ぐ「高さ」を意識した釣りができないと掛けられませんでした。これが出来なかったので大会でも苦労することとなります。


 序盤の解禁釣行は付知川のほか、和良川長良川中央郡上へ行きました。やはり解禁で数釣るには一に場所ですね。10mずれただけで雲泥の差になる時が多いように感じました。和良川では1番、2番鮎が釣られた後の鮎をふわふわさせて結構掛けることが出来ました。この時は「高さ」を意識して釣れていましたが。


シーズン中盤
 さてシーズン中盤は大会河川を中心に「釣れている河川」めぐりの様相でした。その中でも京都の上桂川釣行は印象的でした。解禁後高水であまり竿が入っておらず、引き水の好条件下で小倉均名人を筆頭に名手達の釣りを間近で見ることができた貴重な釣行でした。
 鮎は良く育った最高の状態。そんな鮎を名人たちは「竿さばき」で巧みに掛けていきます。仕掛けはあまり拘らず、あくまでノーマル。竿さばきだけで急瀬も深瀬もトロもチャラも攻めていきます。そしてなりより丁寧です。立ち位置から探れる場所はきっちりおとりを入れて行く技術、掛けたら絶対取り込む慎重さ、それに比べて自分の釣りは付き鮎を探してどんどん動き、バラシても次へ、次へと行く釣り。ほぼサラ場だったので数こそ出ましたが、翌日だったらその差は歴然としたのではないかと感じました。
 やはり基本は竿さばき。それが完成されたうえで背針やソリッド、細糸などを使えば生きてくる。入れ掛かりの時こそ丁寧に。勉強になった釣行でした。


 他にはドンピシャの日に最高の場所に入れた銚子川、ストレス発散になる安曇川朽木には随分楽しませてもらいました。収穫としては、入れ掛かりの継続が少し長く出来るようになった気がします。要因は、入れ掛かり時ほど仕掛けと針のチェックをこまめに行い、早い交換を心掛けることでバレを最小限に出来たこと、ポイント見切りのタイミングがやや上達したことだと思います。見切りのタイミングは良く言われていることですが、白っぽい鮎が掛かったり、小さくなったり、反応が全然なかったりの場合ですが、今までは掛かるととりあえず掛かり鮎を一泳ぎさせてから移動をしていましたが、今シーズンは掛かった鮎をそのまま持って移動し、移動先で新しいおとりを使うことを意識してやっていました。どれも基本的なことですが、簡単なことほど続けるのは難しい。大西満名人の記事にあった「友釣りは掛かるように出来ているから掛からない時は何かがおかしい」天野勝利名人から直接聞いた「おとりがおかしいと思ったら面倒くさがらず引き戻してチェックすること」、両名人が言っていることは同じです。基本中の基本ですが、これを怠っている釣人が意外に多いのです。自分もそうでしたが、これを実行するようになって確実に釣果は伸びています。


 逆に中盤で苦労したのは長良川郡上中央で苦労しました。郡上では放流鮎の魚影は濃いのに掛けられない難しさ。郡上や中央人気ポイントでは竿抜けはほぼ無いと思われます。スレた放流鮎を掛けるには?掛ける方達はどうも「待ち」がウマいように感じます。
どこで「待つ」のか。どうだったら「動く」のか。これが全然できていなかった。「待つ根拠」「動く根拠」がありません。これは2011年シーズンの研究課題です。


 その難しかった長良川で印象に残った釣行があります。8月21日、場所は長良川中央区屈指の「御手洗の瀬」。不調だった長良川でも一瞬良かった時です。長良川の瀬に慣れた釣り人がいました。左岸の流芯を丹念に攻めます。急瀬ですが釣りは極めて丁寧。ゆっくり攻めている感じ。掛けてからも上手い。ほとんどは動かず捌いていましたが、身切れる、と判断した時にはどんどん下がって行き、緩い流れまで持って行って確実に取り込んでいました。その1匹が次の1匹を呼んできます。自分は13匹しか釣れませんでしたが、その方は30以上掛けていました。
 シビアな長良川では豪快さだけでは釣れません。急瀬の流芯を如何に丁寧に、丹念に、そして掛けた鮎はきっちり取り込むか。これがキモのようです。来シーズンは「身切れの限界点」も少し考えて釣ってみよう。


シーズン終盤
 ここ数年は梅雨明けから9月初旬まで根尾川、それも谷汲山大橋下流域ばかりで楽しんでいましたが、2010シーズンの根尾川は小さなピークも訪れることなく足が向きませんでした。代わりに行ったのが熊野です。シーズン終盤を飾る熊野はどうだったのか。いつも利用する伊勢自動車道の津ICから先が無料化実験の対象区間となり、これも熊野通いの一因となりました。
 その熊野ですが最初から課題が多い釣行になりました。他の河川に比べて取り込み率がガクンと落ちたのです。竿、仕掛け、針のバランスが分かりませんでした。長良川などは強い流れでも海の波と同じで強弱があり、抜くタイミングも取りやすいのですが、熊野川は押しが強く津波のような流れで抜くタイミングに迷います。先調子のスクデットではタメ難くケラレや底バレも多発しました。胴調子のラシュランは良い感じですが、H2.5ではやり取りに時間がかかってしまい、身切れになってしまう。当たりは非常に多かったので掛けられないジレンマに悩まされました。


 何をやったか。まずは針。揖保川用で余っていたバレン8号等を使ってみた。しかし針だけ変えてもバランスが悪い。次は竿。トリプルフォースの急瀬を借りました。これは流石のパワー。掛かってから穂先、胴へと荷重の移動がとってもスムーズ。すごく余裕ができました。そうなると今度は仕掛けに負担が掛かってトラブル多発。おもりを多用することもあって付け糸が良く痛みます。仕掛けも熊野川スペシャルが必要。単純で丈夫な仕掛けが良い。
 それで用意した仕掛けは・・・天糸を4mで遊動無し。先端にチチワを作って水中糸上端編込みコブに無精付け。水中糸は乱の0.06を4.5m、下端にも編込みコブを付けてそこに鼻管仕掛糸チチワを無精付け。鼻管仕掛糸は1.0号を80cmと長めに。手尻も長めの30cm。掛かったショックは鼻管仕掛糸で受け止め、その後の強烈な引きは早く竿に伝えて竿の能力で鮎をイナす。そんなイメージです。
 今度こその4回目のチャレンジ。入った場所は初めてですが全面押しの強い瀬が続くところ。検証には持ってこいのポイントでした。でどうなったか?こうなりました。2010シーズンで一番印象に残った釣りでした。抜くタイミングに関してはまだまだ課題が残りましたが、色々考え、用意し挑んで結果が出た。面白かったです。


 その後の熊野では同じ仕掛けで竿をラシュランに変えて深瀬を攻めても結果が出ました。仕掛けトラブルも激減。高切れは無し。根掛かりで切るとフロロ天井糸0.8号が切れましたのでかなりの強さです。しかしその後の熊野では30匹を超えることができませんでした。やや魚影が薄いのはあったかもしれませんが、その日、その時間で変わる鮎の着き場、ダム放水による水量の変化、海からの強い風、それに釣り人の状況と複雑な要素が絡み合う熊野川で悩んでしまったのも事実です。「前回良かったから」「こんな時はこのパターンだったから」という先入観が判断を鈍らせる気がします。川に立っておとりを放ち、いち早くその日の状況を察知する能力と感性がより求められるのが熊野川のような気がします。2010年の熊野川では初めてのポイントもかなり行きました。広範囲に動いていち早く掛かるポイントとパターンを見つけ出す。これが実践出来たことは良い収穫だったと思います。それがあったので終盤に行った久しぶりの古座川でも楽しめました。


2010年トーナメント参戦
 2010シーズンの大会参戦はどうだったか。2010年はオーナーカップ(初参加)、ダイワマスターズシマノジャパンカップバリバスカップ根尾川鮎釣り大会の5戦に出場、オーナー、シマノでは予選ぼうずで敗退、ダイワはボーダーで予選落ち、バリバスは予選通過するも決勝では1匹だけ。根尾川では決勝から参加で1匹だけ。いいとこ無し。何がいけなかったのか。
 オーナー、シマノでは初期、早朝の釣りなのに待てなかったこと。今までのシマノ予選では、我慢して我慢してギリギリ通過だったのです。それを忘れて朝から引き過ぎ。両大会ともおとりの色がすっかり変っていました。これでは掛かる筈がない。ダイワとバリバスは開催場所が同じ郡上の大和エリア。
 ダイワでは増水からの引き水。朝は濁りもあってどうなるかと思いましたが、ボチボチ掛かる。しかし残り1時間ほどであと1匹が掛けられず。濁りも取れて水位も下がっていたのに気付かず、動かなかったのが敗因。
 バリバスでは予選は上手く行きましたが決勝で瀬にぶち込んで失敗。大和エリア、飛び付き鮎なんてそうそう居ません。
 根尾川大会は論外。自分の釣れる鮎は居ませんでした。しかし今シーズンはシマノセミファイナルのお手伝いなどもして名手の釣りをかなり観察できました。トーナメントでは勝ち上がらなければチャンスは生まれません。勝ち上がるための釣り、そしてそこからどう攻めに転ずるのか。予選は通過しても決勝では攻めないと次には行けません。この辺りの「戦い方」は非常に参考になりました。
 小沢名人や島名人の釣りも間近で見る機会がありましたが、非常に繊細です。大胆に動いて繊細に攻める。2010シーズンの大会ではこの「繊細さ」が全く無かったのが反省点です。2011年も大会には挑戦します。良い流れだった2009年に何とか戻して、目標はシマノ、ダイワ、オーナー、バリバスで半分は地方予選突破、根尾では鬼門の予選クリアを目指します。


 各大会ごとの注意点を忘れないように書いておこう!
オーナー付知予選:下見で、時刻によって変わる掛かり方を確認すること、1回戦は特にハリスを硬めで長めにすること(4〜5cm出す)
ダイワ、バリバス郡上予選:廻りを良く見て移動を躊躇しないこと、ハリス長めにすること、2回戦進出の場合はおとりを横に動かすこと
シマノ板取予選:1回戦は我慢して泳がせること、極細糸使用、ハリス長めに、2回戦進出の場合は石色を良く見ること
根尾川鮎釣り大会:下見をしっかり行うこと、ハリスを長めにすること


道具と仕掛け
 2本しか持っていない竿、ラシュランスクデット。スクデットの方が少し新しいがこちらを使う場面が多いのでかなり使用感が出てきた。ラシュランも破損して修理したが、アフターパーツがほとんど無いらしい。なんとか2011年は新竿を手にしたいが、このご時世厳しいかも。
 もし叶うなら理想とする調子は、先調子でありながら掛かってからはスムーズに胴に荷重移動し、尚且つ引ける。パワーはH2.75程度、もちろん軽いに越したことはない。
 スクデットは先調子でパワーも十分だが、そのパワーで掛かり鮎を止める感じで、溜め難い。熊野川などの水量が多い河川で沖へ走られると厳しい。237gと重くはないが、太さで風抵抗もあり1日持っていると疲れる。あと少し細くて軽ければ理想的。
 ラシュランは使うたびに良い竿だなあと未だに感じる。この引き感覚は他にはない。掛けて竿を寝かしたまま溜める分には、やや大きな鮎でも余裕で止められるが、竿を立ててから抜きに掛かる場面ではブレてしまうのが難点。持ち重りがすると言われているが自分はあまり感じない。細さで風抵抗が随分少ないので重いと感じないようだ。
 2010年シーズン、トリプルフォース急瀬90を借りて熊野川で終盤使用した。十分すぎるほどのパワーは車で言うとトルクがたっぷりある大排気量車に乗ってる感じ。150km/hで走行中でもアクセルを踏み込めばさらにグッと出るようなフィーリングです。突然沖へ走られても、いきなり胴まで曲げてくる良型が掛かっても余裕を持って対応できた。ラシュランは掛かる前も掛かった後も胴に掛かる荷重位置が変わらないので引きやすいが、トリプルフォースは掛かるまでは2番、3番辺りのパワーで大おとりやおもりも受けていて、掛かると荷重が胴に移動する感じがする。なので背針やノーマルで引くにはH3.2の強力パワーは少しオーバーパワーで引き難く感じた。1.5号以上のおもりを付けて引くには安定して引きやすい。自分の釣り方、攻め方だとH2.9相当の早瀬が使いやすいかもしれない。
 2011年、替えることが可能なら、ラシュランUはなんとしても欲しい竿だが、メインに使っているスクデットの方が使用感もあり、トーナメントでも主に使うので変えたいし。。。瀬用のトリプルフォースも欲しいなぁ。8mの短竿も1本あればなぁ。。。夢は尽きません。どちらにしても我が家の仕分け人から予算を取るのが課題ですが。


 2010年シーズンの仕掛けはどうだったか。
 ラインシステムは熊野川専用以外変化なし。若干付け糸を短くして20cmとしていた。水中糸は相変わらずの「乱」だったが、0.04をメインに使用していた。表面のコーティングが剥げない限り切れることは無かった。2009年には0.02の極細も多用したが2010年は細糸に頼らないようにと使用を控えたが、やはり腕をカバーしてくれる有効性は強く感じたので2011年はもう少し場面を考えて使ってみたい。
 背針の使用頻度は増したように思う。ただ、背針に頼った釣り方をしている場面が今思うと多かったので、2011年は背針を如何に有効活用できるか、を考えて使いたい。中途半端に使用せず、基本アイテムとして1年使ってみよう。
 おもりは積極的に使うようになり、根掛かりし易い、受けた時のトラブルが多いといったマイナスイメージも無くなってきた。出来ていないのはおもりを使うべき状況の判断基準。なんとなく浮いている、安定していない、逃げるといった適当なイメージで使っているので、2011年は使う時の根拠を明確にできるようにしたい。
 針はどうだったか。
2010年シーズン使用した針の種類は4つ。いつものオーナーのイニシアブロンズ6.75と7.25号、一角6.5〜8.0号、忍8.0号、熊野用にがまかつバレン7.5、8.0号。使用頻度は多いものからイニシアブロンズ6.75、7.25、一角7.0、7.5、6.5、バレン7.5、忍8.0等。ハリスは在庫のフロロとナイロン1.0と1.2がほとんど。
 何年経っても針だけは答えを見つけられませんが、自分の中では大きく重い針の方が掛かり易いと決めつけています。しかし大きく重ければおとりの負担は間違いなく大きくなる。郡上や付知川の大会などでは小さい針でおとりの負担を少しでも軽くしてしっかり泳がせることが必要だったのかもしれません。
 2011年シーズンは激しくしつこく追ってくる(安曇川や付知解禁等)場合、最初は激しく追ってくる海産遡上(熊野)では大きめの針、スレている郡上や大内山、宮川などでは小さい針というように使い分けてみよう。
 長さに関しても2010年は尾から出しても1〜1.5cm程度しか出さないようにしていた。しかし色々見聞きしていると追いの弱い鮎には長め(3〜4.5cm)に出すのも有効のようなのでこれも試してみる。


その他
 2011年シーズンに行ってみたい河川
まだ行ったことのない神通川、九頭竜川は是非とも行ってみたい。また、シビアな上桂川、天然鮎との知恵比べができる古座川、腕試しになりそうな興津川、藁科川、あぁ〜キリがない!


 2010年は高速道路1,000円と津以南無料の恩恵を最大限受けることが出来たこと、車中泊での連釣が多かったこと、消耗品を計算して最初のバーゲンで1年分購入したこと等のおかげで経費としては前年より幾分抑えることができた。また、根尾川が不調だったおかげで色々な河川に行く機会が増え、新たな出会いも沢山あった。何よりも事故、怪我なくシーズンを終えられたことは本当に良かった。
 2011年シーズンは子供の進学や築20年になる家のリフォーム、業とする建設の不況と経済的に厳しいシーズンとなりそう。釣行回数も減るかもしれません。なので1回、1回の釣行を大切にして目一杯楽しめるよう努力、工夫をしたいです。それには無事故と健康が最低条件。経費節減、健康のためにもサイズダウンは必須です。これが一番難しい!